走り出せ、コスモス*



沙枝ちゃんの目は

完全に怯えてる


「先生が

誰か他の人と幸せになれって言ったんじゃん…」

「じゃあ言うけど

今幸せなの?

ホントにそいつのことが好きなの?」


沙枝ちゃんは視線を下ろして

床をにらんだ


そして

覚悟を決めたように

しっかり俺を見た



「だってすぐ彼氏できたら

先生がちょっとでも惜しいって思うかと思ったんだもん!!」

「バカじゃないの!?」


沙枝ちゃんの目は急に勢いをなくした


「自分の事情で友達を傷つけて、男をその気にさせて

最低だろ!!」


何の音もしなかった


そしたら風が吹いてきて

彼女の長い髪がさらさらと揺れた


すするような音が聞こえた



「だってどうしてもすきなんだもん!!

諦められないんだもん!しょうがないじゃん!!」


目の前の女の子が

いつもより一層キラキラして見えた


「先生に振り向いてもらえるためなら

どんな最低なことでもするよ!」







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