走り出せ、コスモス*
「すきだよ」
「え?……」
そんなの
決まってるよ
なにを いまさら
しばらく
シーンとした
「うそ…」
沙枝ちゃんは
茫然としてた
それから こっちを見た
「ねえ先生
それじゃダメなの?」
え…
どういうこと?
「でも俺じゃ
沙枝ちゃんが幸せになれないよ」
「私は先生がいいんだよ」
「でも俺じゃ…」
すると
彼女はおもむろに俺の手をとった
そして、顔を真っ赤にさせながら自分の胸にかぶせた
夏の薄い服の下に感じた
やわらかい沙枝ちゃんの……。
「…さ 触って
私が女だってこと
確かめて」
沙枝ちゃんと同じくらい…
いやもっとかも
顔が熱くなって
赤くなってるのに気付いた
「私 先生よりすごい年下だけど
子供じゃないよ
幸せは 自分で決める」
久しぶりに、胸が強い鼓動を始めた
俺は自分の体に驚いた
こんなに心臓がドクドクするの
めったにあることじゃない
理性でどうにかしようとしても
それがぶっ飛びそうなこの感覚
一生で何度味わえるんだ?
この鼓動を…
信じてみたい
そして、俺は沙枝ちゃんを抱きしめた。