走り出せ、コスモス*


一日中の炎天下はかなりつらい。

自分の出番はほとんどないけど、見てるだけでもしんどい。


私達のグループのひな壇は、ずっと日が当たる位置。

午後にもなると、不満を言うエネルギーもなく

みんな黙って下を向いていた。


「みんな!あと少しだ!

 頑張ろ、3組ファイオー!」


体育委員の奈々ちゃんがひな壇の前に立ってみんなに言う。




奈々ちゃんが笑ってるから、みんなも笑い出す。




「「ファイオー」」


「うわ~やる気ねぇ!」


と私が言うと、


「いい、いい!3組っぽい!」

って、奈々ちゃんは爆笑。



「おーし!ここらでいっちょ気合い入れるか!」


俊子が突然立ち上がる。


「おぉ、中川原?
 なんだなんだぁ?」


「中川原、外周行きまぁーす!!」

いきなり一人で走り出した。


「待って俊子!私も行くー!」

奈々ちゃんもついて走って行った。


「なんだあいつら…」

みんなに笑顔が戻った。





明日が準備の日で、明後日はついに運動会本番。


しんどくて忙しい、この楽しい夏がもうすぐ終わる…



見ると、俊子と奈々ちゃんが向こうの方を走ってた。





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