走り出せ、コスモス*
「絵ってどんななの?」
板に貼り付ける作業がやっと終わり、
私は先生の顔を見るためだけに塾へ来た
こんなことができるのも付き合えたからだよね…
会いたいときに会いに来れるなんて… 幸せ…
「沙枝ちゃん、聞いてる?」
「あ、ごめん!
鳥とかクジラとか…。空にいるものかな。」
「え? クジラって…空だっけ。」
「空も海も、ごっちゃになってるの。青龍だから。
空も海も青いでしょ。」
ふふって笑うと、先生も笑って納得した。
「ふーん。俺も行こうかなぁ~。」
…。
……え!?
「だっ、ダメ!絶対ダメ!!」
「なんで?」
そりゃ、学校に先生が来るなんて
すごい 死ぬほど嬉しいけど…
「恥ずかしくて死んじゃうよ…」
「え?」
「一高体操…」
第一高校独自の準備運動は、超恥ずかしい逸品。
まあどこの学校のもすごいものだと思うけど…
「はは!なら絶対行かなきゃ!」
「え…えぇ!?」
「決めた!開会式から行くから!」
「ちょ、ちょっとぉ~」
先生は一高の6年前の卒業生だから、一高体操のひどさは知ってるはず。
一高体操はプログラム1番。
ついでに組体操が10番だから、どうにか説得して11番以降からにしてもらった。
先生が運動会に…。
想像していなかっただけに、ワクワクしてそわそわする。
運動会の前日楽しみで眠れないなんて、小学校3年生以来だ。