報告
「あ、お母さん?今、奈津の家なんだけどさ、迎えにきてくれない?…うん、うん。勉強してたら遅くなっちゃって。うん、分かった。バイバイ」
「どう?」
「大丈夫みたい」
ようやく奈津の家の前に着き、電話も終えた。
「あ…もう8時じゃん。奈津、家に戻らなきゃ」
「え、でも、美帆一人になっちゃう…」
奈津には門限がある。門限を破ったら誰とも一切遊ばせてくれないらしい。
「大丈夫だって!5分だけだよ。じゃあね!」
無理やり、奈津を家に入れさせた。
なんだろう。今日に限ってなんだか怖い。私、どうしちゃったの?
雨にぬれた制服。これはこれでお母さんに怒られちゃう。…ま、いいや。
プルル…
電話が鳴った。
誰からだろう。非通知だ。
ピッ
「もしもし?」