悪魔のいる教室
首をあげたせいで空いたスペースを、硬くて温かいものが埋める。

少しだけ強引に。


顔に当たった柔らかい布の向こうからトクントクンと響く、生きてる音。


──この感覚を、私は知ってる。


「……るせぇよ、バカ」


ぶっきら棒な、だけど穏やかで優しい声が、少しだけ後ろから落ちてくる。


びっくりするくらい大きな悪魔の腕の中は、ちょっぴり息苦しくて……じんわり温かい。


心から安心できる檻の中で、私は泣き続けた。
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