悪魔のいる教室
別に、キスされたのは……嫌じゃなかった。

そりゃビックリしたし緊張したりしたけど、嫌じゃなかった。


けど時間が経つと、モヤモヤしたもやで胸がいっぱいになって。

あの時、すぐに拒否しなかった事を物凄く後悔した。


……私は頭が固いんだろうか。


でもこんな経験生まれて初めてだし、誰にも話してないから、これが普通なのか異常なのか、わからない。


誰かに相談すれば楽になるかもしんないけど、なんて言うか、私が誰かにこういう相談を持ちかけるのってなんか……違和感。


半端なく恥ずかしいだろう事は間違いないし、何より私のキャラじゃない。

真っ赤になりながら『キスした』って話してる自分を想像すると、すんごい気持ち悪い。


だからタツ兄はもちろん、涼子と由美にさえ話せない。

となったら、自分でどうにかするしかない。


……なんか。
無性に泣きたくなってきた……。


心の中で葛藤を続ける私を、五十嵐くんはさらに追い込む台詞を口にした。
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