悪魔のいる教室
「熊谷さんって、仲良いよね。佐久間と」

「え!?」


もしや、読心術!?

私が佐久間と桜を聞き間違えた事とか、悪魔の事考えてんのに気づいてんじゃねぇか!?


「そ、そんな事は……」

「クラスで1番……いや、学年で1番仲良いんじゃない?」

「や、やややや……」

「授業中も勉強教え合ってるよね」

「あれは、私が一方的に教えてもらってるだけで……」

「でも熊谷さんにだけだよ。佐久間が勉強教えるの」


「ね?」と、読心術師の五十嵐くんは実に穏やかな表情で、私を崖っぷちに追い込んでいく。

ジリジリ、ジリジリと。


ブワッと冷や汗が浮かびあがる。


暫くすると目が痛くなり、自分がまばたきを忘れてた事に気づいた。


「クラスのみんなもさ、いろいろ噂してるよ」


もう、これ以上はマジで勘弁してほしい。


「2人が付き合ってんじゃないかとか、両想いなんじゃないかとか。あとは──」


前から思ってたけど、五十嵐くんって、他のクラスメートとなんか違う。


悪魔を全然怖がってないし、だからと言って無視したりもしない。

むしろ親密になろうとさえしてるような感じ。


──でも。

他のクラスメートと悪魔の時では、微妙に纏ってる雰囲気が違う。

どこが違うのかって聞かれると言葉に詰まるけど、何かが違う。


……そして、今も。


「熊谷さんが、佐久間の弱みでも握ってんじゃないか……とかね?」
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