悪魔のいる教室
「……どうしたんだろうね?」


こちらを振り向いてそう言った五十嵐くんに、私は首を傾げる事しかできなかった。


ビックリだった、私も。

悪魔は教室に入る時、『バンッ!!』とドアに鞄をぶつけた。

絶対、わざと。


どうすんだよ……。
ますますやりづらいんだけど……。
ってか教室入りたくないんだけど……。


悪魔はたまに、機嫌が悪い時にああやって物に当たる事がある。

そういうの、私は嫌い。

いくら自分が機嫌悪いからって、クラスの雰囲気をぶち壊すのはいけないと思う。

物に当たるのが悪いとは言わない。
けど、場所はわきまえるべきだと思う。


はぁー、気が重い……。

とにかく、悪魔の逆鱗に触れないように気をつけないと。


私は数回深呼吸をし、葬式のように静まり返った教室へと足を踏み入れた。
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