悪魔のいる教室
永遠に続くかと思われた授業がやっと終わると、私は教室を飛び出した。

実際は普通に歩いて出ていったんだけど、心の中では飛び出したような気分だった。


一瞬、悪魔に話しかけてみようかと思ったけど……やめた。


だって機嫌悪いし。

気まずいし。

何より、あの言葉が私をそうさせた。


──『こっちは迷惑してんだよ』

──『もう授業中話し掛けてくんな』


思い出すだけで、まだ胸が痛む。

むしろ時間が経てば経つほど、傷は広がっていく。


ふと思い出す度、深く考えてしまう。


『気にする事ない』と何度も自分に言い聞かせるけど、モヤモヤとズキズキはずっと胸の中から抜けてくれなくて。

落ち込んでは励まし、落ち込んでは励ましを繰り返す。


だけど、例え落ち込んだ内容を忘れる事が出来ても、モヤモヤとズキズキはずっと残ってて。

その人に対する苦い感情として、不満として、私の中で積み重なっていく。


実際は、始まりは小さな小さな出来事だったかもしれない。

だけどそれが重なり、重なって。


──そして、私は押し潰されそうになる。


人と深く関われば、必ずそうなる。

涼子や由美や……悪魔も。


やっぱり私は、ニンゲン社会に向いてないのかもしれない。
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