悪魔のいる教室
私の目の前に立った悪魔は、ビックリするくらい強い力で私の腕を掴み、強引に歩き出した。


廊下にいる生徒達の視線が全身に突き刺さる。

助けてくれる人は誰一人としていない。


悪魔の方が20センチほど身長が高いから、私の体は軽く持ち上げられてかなり不安定な状態。

何度も転びそうになりながら、ギリギリと痛む腕に顔を歪めた。


──なんで?

私、なんかした……?


反抗したいのに、斜め上にある悪魔の横顔を見たら、そんな気も声も引っ込んでしまった。

もはや不機嫌というレベルじゃなくて……すんごい怒ってる。


私は引きずられるように、おとなしく連行された。





「あれっ? リュウくん!」


辿り着いたのは、学校の外にある機械系の実習場の裏側だった。


そこには既に5、6名先客がいて、その中にいたヤスくんが悪魔に声を掛けた。


タバコやトランプ、ケータイ、思い思いに時間を過ごしてた生徒達が、一斉にこちらを見る。

男の子と女の子、どちらもガラが悪い。


私は悪魔に腕を掴まれたまま、思わず俯いた。


「あっ! なるへそ、ひなたちゃんを迎えに行ってたんスねー」
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