悪魔のいる教室
「あいつとは、もう関わんな」

「……え?」

「メールもすんな」


今朝の話聞こえてたんだ、そんな事実が判明すると共に、モヤモヤした感情が胸の奥にへばりつく。


……なんで、悪魔にそんな事言われなきゃなんないの?


「……そんなん、困る……」

「あ?」


まさか私が反抗するとは思ってなかったんだろう。

悪魔は思いっきり不機嫌な低音を発した。

その声を聞いて、早くも自分の発言を後悔し始める。


けど、怯んじゃだめだ。

ここで黙って言いなりになるわけにはいかない。


「私の、自由じゃん」

「んだと?」

「佐久間くんも、前に言ったじゃん。自分の意見を人に押し付けんなって……」


言った。言ってしまった。

若干興奮気味の私、その横を強い風が通り抜け、雑草や木々がザワザワと騒ぎ出す。

悪魔はなんとなく冷たい、けど真剣な、怒ってるような……なんとも受け取りにくい表情で、私を見つめる。


隣にそびえ立つ灰色の古びた壁の向こうからは物音1つせず、今はどこも実習をしてないんだとわかる。


風が吹き止むと、辺りは重い静寂に包まれた。


「……お前」


悪魔は少しだけ乱れた髪を直す事もせず、口を開いた。


「俺の女だろーが」
< 129 / 201 >

この作品をシェア

pagetop