悪魔のいる教室
私は、悪魔が嫌いじゃない。

むしろ好き。


問題はスキの種類なんだけど、それがよくわかんないんだから仕方ない。

確かなのは、私の中で悪魔の存在がいい意味で大きくなっていってるって事。


嫌われたくない。

そう思うのは悪魔が怖いからって理由より、悪魔の傍にいたいって気持ちが大きいからかもしれない。


「ひなたって、佐久間くんの事好きだったんだね? 全然気づかなかったよ」


涼子の言葉に、胸がキュッと締め付けられた。


……本当の事を涼子達に話したら、なんと言われるだろう。


“形”に入る事から検討が始められた気持ち。

ハッキリしないまま出来上がった“形”。


付き合ってんのに、恋人じゃない。

そんな私達を、涼子達はどう思うだろう。


何も言わずに微笑む私は、卑怯者だ。


私と悪魔の関係を視覚的に捉えるならば、きっといびつな形をしてるんだろう。


脆く不安定な、私達の形──。
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