悪魔のいる教室
「佐久間くん、ひなたには優しいもんね。勉強教えてくれるし」

「頼めば教えてくれるよ?」

「いや、それがなかなかねぇ……うん、ひなたはスゴイ」


ギュウギュウ詰めで足元の見えない階段を、涼子と話しながら降りていく。


悪魔の話をしながらもずっと、私はある事が気になって仕方なかった。


──由美の存在。

込み合った廊下は2人しか横に並べなくて、私達の後ろには由美が1人でいる。

私と涼子、2人だけの世界みたいになってて由美が1人になってんが、すごく気になる。


「由美」

「うん?」

「……転ぶなよ」


後ろを見ながらそう言った途端、自分の方が階段踏み外しちゃって、「ひなたにだけは言われたくない」と笑われた。
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