悪魔のいる教室
いつもの不機嫌そうな、周囲を威嚇したような表情は、そこにはなかった。


……笑ってる……。


金髪くんのおどけたような話し方に、表情を緩める姿。

柔らかい春の日差しが、その表情を優しく照らす。


笑うと片頬にだけ小さなえくぼが出来る事を、初めて知った。


なんか……違和感。

悪魔が悪魔じゃないみたい。


金髪くん……何者?


不覚にも悪魔の笑顔にドキドキしてる自分に眉を潜めた瞬間、金髪くんの足に悪魔が膝で蹴りを入れた。


私から見るとやっぱり少し痛そうだけど、こないだとは比べ物にならないくらい優しい蹴り。


「……友達、いたんだ……」


そりゃ、いるよね。
友達くらい。


1年の頃、悪魔はいつも3年とツルんでたって聞いた。

その頃私は悪魔とクラスがかなり離れてて、1年の階で独りでいる悪魔をたまに見るくらいだったから、3年と一緒にいるとこはあんま見た事ない。

けど校内には悪魔達の溜まり場、なんて恐ろしい場所もあったらしい。


基本同学年とは親しくしない悪魔だから、その3年が卒業してからは独りになると思ってた。


けど……なんだ、そっか。


私は少し笑ってしまった。
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