悪魔のいる教室
あの後教室に戻ったら涼子達がいて『ロッカー行ってた』って報告受けた私は『いいよ』っていつものように笑って、しばらくすると悪魔が来た。
一気に緊張感が張り詰めた教室の中をいつもの何食わぬ顔で進んでた悪魔は、私と目が合った瞬間、少しだけ目を見開いた。
何か言われるかと身構えてたら、意外にもすぐに目を逸らされて『あれ?』ってこっちが拍子抜けしてしまった。
それからも話し掛けられる事なく、悪魔はダルそうに隣の席に腰掛けてた。
そして1時間目の数学が始まってすぐ、私は自分の失態に気づいた。
「せ、先生」
「なんだ? 熊谷」
ガッチリとポッチャリの中間らへんの体型の、30代後半と見られる数学教師・タケティーが、教卓から私に視線を向ける。
「あの……教科書忘れました」
「なぁにぃ〜?」
「すっすいません!」
「お前なぁ……それは俺への挑戦状か?」
タケティーのジョークで、教室に笑いが沸き上がる。
生徒を“お前”なんて呼んじゃうタケティーは、明るくてフレンドリーな先生で、忘れ物をした生徒をからかうのが趣味だと私は認識してる。
忘れ物しても怒らないタケティーには心から感謝だけど、そういうのをスマートにかわせない私はひたすら『違います!』とか『ほんとすいません!』とか、本当に必死で謝り続けた。
私が必死なのに比例して、なぜか周囲の爆笑もヒートアップしてく。
「ハハハ! わかったわかった。じゃあ……」
「ち、千代ちゃんに借りていいですか!?」
タケティーの言葉を遮るように声を張り上げると、タケティーがキョトンと口を閉ざした。
一気に緊張感が張り詰めた教室の中をいつもの何食わぬ顔で進んでた悪魔は、私と目が合った瞬間、少しだけ目を見開いた。
何か言われるかと身構えてたら、意外にもすぐに目を逸らされて『あれ?』ってこっちが拍子抜けしてしまった。
それからも話し掛けられる事なく、悪魔はダルそうに隣の席に腰掛けてた。
そして1時間目の数学が始まってすぐ、私は自分の失態に気づいた。
「せ、先生」
「なんだ? 熊谷」
ガッチリとポッチャリの中間らへんの体型の、30代後半と見られる数学教師・タケティーが、教卓から私に視線を向ける。
「あの……教科書忘れました」
「なぁにぃ〜?」
「すっすいません!」
「お前なぁ……それは俺への挑戦状か?」
タケティーのジョークで、教室に笑いが沸き上がる。
生徒を“お前”なんて呼んじゃうタケティーは、明るくてフレンドリーな先生で、忘れ物をした生徒をからかうのが趣味だと私は認識してる。
忘れ物しても怒らないタケティーには心から感謝だけど、そういうのをスマートにかわせない私はひたすら『違います!』とか『ほんとすいません!』とか、本当に必死で謝り続けた。
私が必死なのに比例して、なぜか周囲の爆笑もヒートアップしてく。
「ハハハ! わかったわかった。じゃあ……」
「ち、千代ちゃんに借りていいですか!?」
タケティーの言葉を遮るように声を張り上げると、タケティーがキョトンと口を閉ざした。