悪魔のいる教室
あぁ、なんて温度差の激しい会話……。

例えるなら夏と冬。


暑苦しいタケティーの笑顔を眺めながら、隣の冷血ボイスを聞きながら、どうにかしてこの状況上手く乗り切らねぇとって考えてた。


だけど、私のつるっつるの貧相な脳みそでいい案が浮かぶわけもなく──


数分後、私は悪魔と席をくってけて問題を解いてた。


いや、解いてないけど。

全くちんぷんかんぷんだけど。


ノートにグルグル落書きしてる私の隣で、意外に優秀らしい悪魔は軽快にペンを走らせてる。


あ、左利きなんだ……。


それにしても、ニンゲン怖い体験すると、次から体が勝手に拒否反応を示す仕組みになってるみたいで。

私の手、震えてる。

グルグルの形が超いびつ。


「…………」

「…………」


気まずい……。


くっついた机から、ピリッピリッて悪魔の苛つきが伝わってくる。


さっきからシャー芯ポキポキ折れてるし……。

しかもいくつか私の陣地に飛んできてるし……。


でもまさか、絶対悪魔と関わりたくなかった私が自分から接点をつくってしまうとは……ってか、借り? これ借り?

な、なんてこった!!
悪魔の弱み握って有頂天だったってのに!!


「よぉ、お二人さん。ちゃんと解けてるか?」


私を地獄に突き落とした張本人・タケティーが、居酒屋のサラリーマンの『へい大将、やってるかい?』みたいなノリで話し掛けてきた。
< 31 / 201 >

この作品をシェア

pagetop