悪魔のいる教室
こんな事、高校生がやっていいわけがない。

学校に見つかったらどうなるか……。


でもそれ以上に、今、悪魔が手にしてるお金を『汚い』って思った。

こうやって遊び感覚で扱っていいものじゃない。


私の頭が固すぎんのかもしれない。

今時の高校生にとってはこういうのは普通の事で、私の感覚の方が異常なのかもしれない。


でも、あんなお金の稼ぎ方は絶対よくないと思う。


……こんな事言ったら、タツ兄は私を嫌いになってしまうだろうか。


不安に駆られ、ゆっくり斜め上を見上げると──

優しく、切ない微笑みを浮かべたタツ兄と、目が合った。


「……こういうの、嫌か?」


構えてたとこと違う場所を刺され……いや、むしろ逆方向から。


タツ兄が私を嫌うんじゃなくて。
タツ兄が、私に嫌われないか気にしてる。


驚きで言葉が出ない。

とりあえず安心したけど、タツ兄の悲しそうな瞳に胸が痛んだ。


なんで?
タツ兄は何もしてない。

私の嫌悪感の対象は、悪魔達で。

そんな事わかってるはずなのに、なんでタツ兄はそんなに悲しそうな顔すんの?


さっきもそうだった。

『バスケ上手いだろ?』って言われて頷いた時、タツ兄は嬉しそうにしてた。


「嫌いって言うか……」

「うん?」
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