チャイムが鳴る前に。




「恋ですよっ!!
赤にえっと、一がないのと心で恋だよ!!」
「……おわっ!」
ズイと机から身を乗り出して、あたしの肩をがっしりと掴んだ咲ちゃん。そのあまりの勢いに、思わずあたしは椅子からぶっこけそうになる。
「…恋、ねえ…」
この年になるまで、恋になんか無縁だったあたしの名前は、水嶋紗波(みずしまさわ)、16歳。
高校2年生。8歳から続けていた空手は、何度も全国大会で優勝した。そのせいか、色恋に励む暇もなく、いつのまにか彼氏イナイ歴=年の数に。……寂しい人生ですよ…。
でも、でもね。そんなあたしにも天使が舞い降りてくれたのです。



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