呪われ海との約束
土曜。
憂鬱な土曜日が始まった。そう思うとため息が出る。
大体、俺は匠の誘いにそこまで拒否をしなかった。
何故か。
簡単な話だ。
ドタキャンかサボればいい話だからな。
集合は確か9時だ。今は8時50分。俺は着替えてないし、ベットの中だ。
突然、携帯から着信音が聞こえた。
匠からの電話だ。
ここまでは予想範囲内。
少し遅れて電話に出る。
「…もしもし…」
わざと眠そうな声を出し、“今起きました”って感じにする。
「あれ?
お前、まさか寝てた!?」
「…え?今、何時?」
少し焦りを入れて言う。匠は完全に騙されている。
良い調子だぞ、俺!
「今…?今、8時50分ぐらいだけど?」
「まじ…?ゴメン、俺寝坊した。先行っててくれね?」
演技にしては上手いぞ…なんて自分を褒めながら、申し訳なさそうな声を出す俺は黒い笑顔を浮かべてた。
「分かった………」
よっしゃ!!!!
これで俺は今日も寝ながら過ごせば憂鬱な一日にはならな――……
「なーんて、言うと思ったか。バ~カ」
……――ならなかったはずなんだけど……。