女王の学園

「初めまして、皆さん。このクラスを担当する鈴木優菜です。よろしくお願いしますね♪」

優しく、おっとりした口調でしゃべる先生。案外優しそうね。

「…それじゃ、これで一時間目は終わりです」

先生がにっこり微笑むと、みんな席を離れ出した。

私はあの羽場夢美の席に向かった。
ラインストーンなどでデコったキラキラの携帯をぱちぱちいじっていた羽場夢美は、私が近づくとふっと顔を上げた。

「…何か用か？」

何気男口調に内心びっくり。私の友人に、そんな子なんていないから戸惑うわ。

「あなた、羽場夢美よね？」

「そうだけど何だ？ケンカか？受けてたつぜ」

夢美はニヤニヤ笑いながら軽く構える。違うんだけど…

「そんなわけないわよ。ただ、友達になろうと思ってね」

私は先生みたいに微笑むと、夢美はきょとんとした目を向けた。

「…物好きだなぁ。こんな奴友達にしようとするなんて、宝石店のお嬢様の思考回路を見てみたいぜ」

「あら？私のこと知ってるの？」

「当たり前だ！中原って聞いたら誰でも分かるぜ」

夢美は足を組み、デコ携帯を降った。ふと、私は机の上に置いてあるシャネルのサングラスに目がいった。

「貴方、ブランド物持ってるのね」

「あ？…おぉ、これか？これ、私の父さんの友人から貰ったものだぜ」

シャネルのサングラスを手に取り笑う夢美。なるほど、……ということは？

「貴方、どこかの富豪の娘さん？」

私が問いかけると、夢美は一瞬目を丸くし、その後クスッと笑った。

「私は富豪の娘じゃない、だけど普通の家柄の娘でもないぜ」