生徒会長様の、モテる法則
1-3 強制
「ったく、やっと目を覚ましやがったか」
ノロノロと開けた目から、まず見えたのは柔らかそうな黒い髪。
それから影が綺麗に入った鼻筋に、長い睫毛。
そっか、私気を失って…
「っていうか!なんで椅子に拘束されてんの私!」
「てめーが逃げようとするからだろ」
「仮にも病人を椅子にグルグル巻きにするとは…悪魔だな」
苦し紛れに憎まれ口を叩けば、要冬真は一度大袈裟に驚いたような顔をした後、バカにしたように鼻で笑った。
こいつ…!
「大体、授業もせずにこんな事していいの?拉致よ拉致!」
「もう放課後ですよ」
「え!マジで」
後ろで眠そうな声が聞こえ振り返ると、柔らかそうなソファで天使野郎が横になって本を読んでいた。
つうか、ここどこ?
「安心しとけ、担任には“暴走して窓から落ちた”って伝えておいた」
「安心出来る要素が一つもねーし!完璧変人じゃん!」
「変人じゃねーかサル女」
「あんたが追い掛けてくるからだろナルシスト野郎が」
なんとなく、ゴキブリ野郎とは言えなかった。
凄まじく逆鱗に触れそうだし。
というか一日目から気絶して授業放棄とは…滅茶苦茶不良じゃん!
明日からみんなに怖がられること間違いない!
学園アイドルゴキブリ野郎に手を出したとはいえど、今日の殺気立った視線はもう浴びないかもしれない。
いやぁ安心。
あれ、安心なのかなこれ。
明日から誰も目を合わせてくれないんじゃないか?
「おいサル。お前名前は」
「は?朝自己紹介しただろ節穴か貴様」
「黙れ朝はお前をどう平伏させようか考えてたんだよ」
へ、平伏!!
何だこいつはルイ14世気取りですよプププ!
「って怖!ニトウ-スズカですが何か問題でも?」
「よしサル」
「おいこら。せっかく読みやすい様にカタカナにしたのに“サル”って掠ってもいないじゃん。名前無視じゃん」
「お前は今日から俺様の下で働いてもらう」