生徒会長様の、モテる法則
ふ…!
「不良…!!」
驚きのあまり手を離しかけてしまった。
目の前に現れた関西人は、腹這いになり両肘で頭を支えニコニコと至近距離で此方を見ている。
ていうか、下手したら頭をぶつけていたんじゃないかというくらいの隙間しかなく、私が気持ち斜め前に頭を出していれば、確実に星を見ていたと思う。
「けったいやなぁ、俺んのどこが不良やねん」
心の底から怒ってはいないだろうが、少し不機嫌そうな声をあげ立ち上がった男の影で視界が暗くなった。
背中を向けて私から離れていったのを確認して、冷たいコンクリートの上に両手をつき男と同じ地面に降りると、楽しそうな含み笑いが聞こえてくる。
「面と向かって会うんは初めてやなぁ、叫んでる所と跳び蹴りしか知らんけぇ」
男はペタンと地面に座り込み、アグラをかいてこちらに手招きをしている。
怪しい。訛りが混ざってるし…、髪の色凄い灰色だし!
私は1メートルほど間を開けて男を真似るようにアグラをかくとまた、楽しそうに口角をあげた。
「いっつも叫んどるやんな、自分」
その距離をものともせず、男は目元を細めて身を乗り出した。
「聞いてたんですか!!ちょっ…プライバシー侵害ですよ!!」
なんか家にある下着の趣味を見られたみたいな恥ずかしさ!!
私の場所に土足で踏み込んで来て勝手にパンツの色を拝見するとは…、イヤな奴だ。
因みにヒモパンは持ってないけどな!!!
「せやかて、俺は三年間ここに通い続けてんねんで。自分が勝手に俺んちにパンツ置いて帰ってるだけやん」
ごもっとも…!!
確かに私が転校してきたのは三年になった4月半ば。
屋上に全く人が居ないなんて、よく考えててみれば確率的に凄く低い。
「俺、星南右京【ホシナ-ウキョウ】、仲良くしよや。鈴夏」
いきなり呼び捨てキター。
なんて馴れ馴れしいやつ!
いや、でもハルはほぼ初対面で名前違ったし要冬真は“サル”だし…、マシな方か?
「つかなんで名前知ってんの」