生徒会長様の、モテる法則
5-2 写真
ふっ…。
久々にかましたラリアット、我ながら良い出来だったな。
昨日とは打って変わって、朝から雨が降る湿っぽい朝。
私はビニール傘を肩に乗せて相変わらず大きな校門をくぐった。
要冬真の家と、どっちがデカいだろうか。
昇降口から何メートルか離れた掲示板に、人だかりが出来ていたがあれは嫌いなので素通り。
私が書記になった時に貼り紙された、あの、掲示板だからだ。
無視無視。
傘を閉じて、上履きに履き替え、生徒会室の前を通り階段に向かう。
――…、つか、なんか見られてない?
教室へ向かう生徒達の、好奇な視線。
転校当初の殺気とは違う、全く別の何か。
私、なんかしたっけ?
どうしよう。
昨日ラリアットしたのが噂にでもなったか?
いや、別に私がキン肉バスターを要冬真に仕掛けたとしてもみんな驚かないだろうし。
一体…
「よぅ、おはようさん」
A組の教室の前で、昨日のラリアットで懲りていないのか灰色の髪が、壁に寄りかかって腕を組みこちらに笑いかけていた。
星南右京だ。
「シネ」
満身創痍でシネ!
私は口に出すばかりか、呪いのように何度もザラキを唱える。
本気だ、本気になればカメハメ波だって打てるのだ。
「なんやぁ冷たいわぁ、もうみんなん噂やで」
「なにが」
私が彼の前を通り過ぎた瞬間、嘆くような大袈裟な声が聞こえ思わず振り返る。
「キス」
とりあえず、回し蹴り。
「うぉ!ほんま容赦ないな自分」
そう言いながらもきっちり避ける右京は、楽しそうに笑った。
チッ…うまく避けやがって。
「手加減したら息の根止められないでしょうが」
「キスで殺してくれんなら、本望なんやけどなぁ…、下の掲示板見た?」
下の掲示板?
「見てない」
掲示板、と言うだけでイヤな感じしかしない。
確かにあそこはさっき人が沢山集まっていたが、何があるというのだ。
「俺らの熱愛写真、誰かに撮られたみたいやで」