生徒会長様の、モテる法則




こ、更年期障害…、みたいなやつ?



「知らねえ」



「は?」



「別に怒ってねぇよ、ただ」



「…、ただ?」



「…。なんでもねぇ」




エエエエエ!!

渋い顔をしてそっぽを向いてしまった要冬真の横顔をマジマジと見上げる。


言いかけてやめんな!


しばらく無言の戦いが続き、しびれを切らしたようにため息をついたヤツは小さく呟いた。



「…なんとなく」


「はい?」


「なんとなく腹が立っただけだ。ワリィか」



はい…?




「ワリィに決まってんだろ!理不尽な怒りをピリピリ感じて無駄に申し訳ない気持ちになった私の身にもなれ!」




理不尽にもほどがある!


なんとなくってなんだ許せん!


「腹が立ったんだから仕方ねぇだろ、俺様は本能に従って生きる男なんだよ」


「ただの自己チューだろうが俺様野郎!」


「俺様のどこが俺様だ!サル!」



不毛な言い争いの末、二人とも悪口が思い付かなくなり静かな空気が流れ、少し気まずくなる。


また喧嘩してしまった…!だからこないだだってお礼の一つも…。



「あ」


そう言えば。




まだ“ありがとう”って言ってない。




ちょっと要冬真の態度に腹は立つが、心配してくれた(ような素振りは沢山見受けられた)。

何だかんだで、私の事も見ていてくれているのだと思うと胸が詰まるような思いに駆られ、なんだかむずかゆくなる。



「あ、あの…」



ゆっくりとした空間。
流れる時間は私の味方だ。
今度は落ち着いて言うことが出来そう。




「こ、今回は…」



ヤツの目が、私を捕らえているのが分かった。
何か言うのを静かに待ってくれている。



「色々、心配してくれて、助けてくれて…ありがとう」





言えた!!

ビバ私!

最高私!

ありがとう私!





「幾ら野蛮で暴力的でも、生徒会役員だからな」



右京の言葉が脳裏を過ぎった。
やっぱり――…
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