生徒会長様の、モテる法則
「えー…っと、じゃあ…、国の民族衣装は大体用意出来てるだろうから、それが接客に相応しいかどうかと、その国に代表される料理が作れるかどうかの、検討だ」
委員長頑張れ!!
このクラスの誰もがそう、思ったはずだ。
機嫌が悪くても話し合いにしっかり参加する要冬真は、どう考えても教室に悪影響を及ぼしている。
「はいはーい!チャイナドレス!サリー!チマチョゴリ!」
「ハル、女物ばっか…」
ハルの脳天気な声が響いて、教室内の冷えた空気に消えていった。
流石、空気を物ともしない男だ。
再び静まり返った教室で、今度は部屋のほぼ中心に居た氷の男がゆっくり手を上げる。
皇帝自ら、お出ましと言ったところか。
「お、おー、要」
委員長にしては珍しい上擦り気味の声を、私は固唾を飲んで聞いていた。
勇気ある行動だ。
兄貴…、まさに勇者。
グッジョブ。
「先に、各国の特徴的な料理から上げていった方が楽じゃねーか?」
あれ?
発せられた声色は、冷血ブリザードなオーラを纏っている人物とは思えないほど、普通だ。
私の席から表情は丸きり見えないが、声だけ聞けばいつも通り。
違和感はハンパない。
「そ…。そうだな!その方が効率いいかも!みんな、各国に代表される料理で作れそうなモンあったらどんどんあげてくれ!」
委員長が、拍子抜けしたように小さな声を上げた後、勢いを取り戻して早口でそう言うと、同様に安心したクラスメート達は点々と意見を上げていく。
私は、その話し合いを他人ごとのように耳だけで参加しながら、相変わらずオーラだけは氷点下の要冬真の後頭部を眺めていた。
すっかり見慣れてしまった景色。
怖い…。
どう控え目に考えても私が、生徒会室で、不可抗力だとしても…キ、キ…(どうしても言いたくない)したわけだし私が謝るべき?
すいません!
許して!
私はあいつとなんか頼んでもしたくないし!あれは事故!ライオンに咬まれただけであってそれで…
つうか
ライオンって…怖っ!