生徒会長様の、モテる法則
「いや、なに謝罪の言葉を述べているとは思えないその態度」
「うるせー俺様の口から謝罪の言葉が出た事をありがたいと思え」
「アンタのその発言に驚きだね!…つかなんで謝った?」
「…、空気悪くしただろ、昨日」
要冬真は、眉を顰めながら心外だという風に私から顔を逸らした。
まぁそれはそうなんだが、その原因は――…
「あ、いや…、あれは怒らせた私が悪いし…」
「おめぇは悪くねぇだろ」
「私が仕事サボってたから怒ってたんじゃないの?」
「…」
突然無言になったヤツは私の頭を、スナップを効かせて一発叩いた。
「いだっ!なにすんのさ!」
「おい春、何寝てんだいくぞ」
まるで私を叩いた事がなかった事になっているような見事な切り替わり。
飽きて机に頬をつけイビキをかいていたハルを叩き起こして、要冬真は教壇の方へと歩いていく。
「くそ…理不尽に殴られた」
何が悪かったのかはさっぱりだったが、私は緩む口元を隠すように大して痛くはない頭をさすった。
――…悪かったな
なんだか、可愛いなんて思ってしまった。
要冬真のファンに嫌がらせを受けた時も、強制的に生徒会になった時も、所々で出る腹の立つ発言も、一切申し訳なさそうな雰囲気を出さなかったのに。
だから、九割九分自分に非があっても謝ったりしない人間だと思ってた。
なんの風の吹き回しかしらないが、少し、仲良くなれたのではないだろうか。
教室の朝のブリザードは無意識みたいだけど。
「鈴夏さん、私たちも集まらないと」
彩賀さんと一緒に接客組の集まる黒板前に向かう。
そんな所まで話が進んでいるとはとは知らなかった。
彼女は、私をわざわざ呼びに来てくれたらしい。
待たせて申し訳ない。
「いえ、私はお二人共をお慕いしているのです。そのお二人が結ばれるなら身を引くべき!!しかし私の心は、要様に鈴夏さんを取られるのを拒絶して…」
「…」
なんか忙しそうだからお礼言うのはやめとこう。