生徒会長様の、モテる法則
「ごちそうさま、おいしかったよ」
「左様ですかご主人様」
「僕と一週間会えなくて寂しかった?」
「嬉しくてリオのカーニバルでしたご主人様」
「なんだー、押して駄目なら引いてみろ作戦だめじゃないか。うっちゃん」
「だから言うたやん。さりげに俺んせいにしようとすな」
引いてみて一生出てくんな!
どうやら一週間私の前に現れなかったのは作戦の一環だったらしい。
会計を済ませ扉の前でグダグダと絡んでくるのは正直迷惑であるが、先程のように怒鳴り散らして怒られても困る。
ここはこらえてこらえて。
「ありがとうございましたまたおこしやがりくださいませ」
もうお越しいただかなくて結構ですけどね!!
「あ、俺らんクラスな、第七ホール使うてイベントやってんねん」
右京は思い出したようにポケットから紙を取り出して私の前に差し出す。
「まぁ迷路みたいなもんやな。謎解きもあるし人捜しもある、まぁとにかく来てみぃ」
「え、そう言うの苦手なんだけど」
「大丈夫だよ、苦手なモノはやらなきゃいいんだから。鈴にはピッタリのイベントあるから。来てね」
黙ったままだった葵が、突然口を挟んできたので思わず顔をしかめると、彼はそんなのもお構いなしに貼り付けたような笑顔を見せる。
なんか怖い。
「いや、遠慮し」
「来なかったらあの日のディープキスの写真バラす」
「行きます」
その答えに満足したのか、葵は声を上げて笑った。
葵は何かと写真を取るのが習慣付いていて、私がドーベルマンに追いかけられている酷い形相のモノから、体育倉庫で泣き出したモノとか、兎に角恥ずかしいものばかり持っている。
屈辱的ファーストキスの写真は、片手で私の後頭部を力の限り押さえつけ、もう片方の手でカメラを持つという恐ろしい手法で取られたものだ。
――…まさかここに来て脅迫の道具に使われるとは…
「もしH組のイベントに来てくれたら、ネガごと返してあげるよ」