生徒会長様の、モテる法則




「貴方が何故、呼び出されたのか分かっているのですか?」



早速だ。
品のよい言葉遣いには似合わぬ殺伐とした空気。
数人の女子に囲まれる午後の昼下がり。
お腹空いた。

学校から一番空に近い屋上は、よく相手を呼び出す場所として使われるが、あの心理は一体何なんだろう。


前の学校でも、よく男子に呼び出されていたが十中八九学校の屋上だった。

因みに告白などという甘ったるいモノではない。
タイマンだ。

金白村には学生の暇つぶしになるような施設がないことを冒頭で説明したが、そんな少年少女達はワザワザ都会に出て行くか、それなりに出来る遊びをするか、どちらかに限られていた。


そんな中生まれたのが、“喧嘩”だ。



と言っても、漫画や映画のような勢力争いではなく、どちらかといえば“格闘技”とか“K1”に近い何かだったと思う。


私は校内であらゆる強豪を抑え、No.2の座に君臨していた。


あだ名は“チャイナ娘”。
実家がラーメン屋であることから付けられた名前である。



「貴方、どういうことですの?要様に足を上げるばかりでなく生徒会に入り込むだなんて」


「いやぁ、入り込むって言うか…私は承諾した覚えが…」


「お黙りなさい!どんな手を使ったかはしりませんが、学園の掟は守ってもらいます」



数人でまくし立ててくる女生徒。
多勢に無勢とは正にこのことだ。
私は4・5人の女の子に囲まれ、どう逃げようか考えていた。
その塊から少し離れて此方を見学するのは、この集団のボスだろう。

一際目立つ長い髪が緩いカールを描いて胸元まで伸びている。大きな目と長い睫毛はこの距離でも分かるほど存在感があり、薄目の化粧が誰よりも美しい容姿を際立たせていた。




「いや、あの…掟って?」



「こちらですわ」



どこから持ち出したのか、大きな白い模造紙が目の前に現れた。


「“要冬真様に関する事項”…?」



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