生徒会長様の、モテる法則
「怪人20面相でも出てきそうですわ」
彩賀さんが、そう呟いた瞬間だった。
『ロンドン市民の皆さん、いかがお過ごしでしょうか、ロンドン警察です。只今怪盗21面相が出たとの目撃情報が入りましたのでお知らせします』
「おお、タイムリー。彩賀さん凄いね」
等間隔で続く街灯のすぐ下にあるスピーカーから聞こえてきた声、なにやらイベントが始まるようだ。
『赤いスカーフを頭に巻き、白いYシャツに赤いチョッキ、赤いスカートに白いエプロン。ヤツは依然逃走を続けています』
「…、ん?」
どこかで聞いた事のある服装だ。
『尚、捕まえていただけた方には各空港会社で使えます、国内線国外線乗り放題の年間パスを差し上げます』
砂をこする音がスピーカーから聞こえて辺りが少し静かになる。
「すげー、つうかこれ葵の声だ。簡易鬼ごっこってこれのこと?」
「そうみたいですわね、頂いた紙にも書いてありますわ。“客の中からランダムに選ばれた鬼を見つける鬼ごっこ”だそうです」
「へー…」
『では健闘を祈ります。怪盗21面相、今回かなり凶暴ですのでお気を付けください』
「凶暴だって、こわー」
「鈴夏さん」
「ん?」
「怪盗21面相の特徴。鈴夏さんにそっくりですわ」
「…」
“赤いスカーフを頭に巻き、白いYシャツに赤いチョッキ、赤いスカートに白いエプロン”
「やや、そんなボーっとしてたらあかんで。怪盗21面相さん」
「ギャー!」
隣のわき道から突然声が聞こえて暗闇から現れた男に驚き叫び声を上げたが、よく聞けば右京の関西弁だった。
午前中、店に来たときの制服ではなく警官風の青い衣装。
灰色の髪でその服装だと…なんか…
「コスプレ?」
「ちゃうわ!かっこえぇやろ、めちゃくちゃ」
「…。うん」
「なんじゃ今ん間は!なぁ彩賀さん、俺かっこえぇやんな」
「私、弱い方には興味ありませんの」
ツンと外を向いた彩賀さんは、彼に毛ほどの興味もないらしい。