生徒会長様の、モテる法則
嫌なんかい!要冬真のやつ!実はどさくさに紛れて私を殺そうとしてるんじゃないだろうか!
ちょっと苦しい!
「人のモノ、取っちゃいけないって習わなかったかい?」
「人のモノ?勘違いするな、こいつはお前のモンじゃねー」
殺伐とした空気が流れているのも二人が心中穏やかでないというのもわかる。
が。
いい加減視界がはっきりしない状態で怒気を身に浴びるのは怖い。
「違和感があったんだ、桐蒲。お前が、こいつを所有しているような言い方に」
そう!
偉い!要冬真!
私が言っても聞かないし、周囲が注意もしてこなかったので気付いた時には誰にも止められなくなっていた彼の我が儘。
第三者から忠告を受けるというのは幾分か彼にダメージを与えるかもしれない。
私は“モノ”じゃない。
人権侵害!国民の権利!自由!
「お前は、間違ってる」
私の目にあてがわれていた大きな手がゆっくり離れて、ジワジワとクリアになっていく視界を頼りに私はすぐ後ろに立っていたヤツの顔を見上げた。
相変わらず軍服は着たままだったが制帽はなくなっており、流れるような綺麗な漆黒の髪は少し乱れている。
風を切った跡。
――…もしかして、助けにきて…
「仁東鈴夏は生徒会書記だ。ということは生徒会を取り仕切る俺様に、こいつの所有権がある」
えー!
あり得ない!
こいつの発言があり得ないから!
そしてちょっとドキッとした私が一番アリエナーイ!
「ばっ…、意味わかんないこと言ってんじゃないわよ!私があんたの所有物にいつからなった!」
そんな恥ずかしさも手伝ってついカッとなり要冬真に向き直るとヤツは、宇宙人でも見たような表情で私を見下ろす。
「いつって、お前が書記になったその日からだろう」
いや!
何故当然かのような顔を?
why?
ホワーイ!
「だからこいつで遊ぶなら、俺様の許可を取ってからだな」
いやいやいやいや!
得意げに宣言されても!
話脱線!あり得ないくらい脱線してるから!