生徒会長様の、モテる法則
7-3 ラーメン屋
「いや、すまん!鈴がどこぞの馬の骨を連れてきたかと…!まさか恐竜の骨とは」
「なにその例え」
久しぶりの我が家。
混雑した店内のカウンターに座る私と要冬真。
先程と違う所は、要冬真が頭から塩を被って塩まみれになっているということだ。
「ご、ごめん…」
「いや、別にいい。突然来たので驚くのは無理ないかと」
私が座ったまま頭を下げると、彼からは意外な言葉が返ってきた。
不安げにこちらを見ていた親父にも外交スマイルを放ち、興味津々に店内を見回す。
「なんだい、坊ちゃんラーメン屋ははじめてかい」
親父立ち直り早っ!
「はい」
「ちょっと待ってろ」
うざったい笑顔を浮かべて、親父は厨房に入っていった。
相変わらずの手書きメニュー表に、赤いテーブル。
金白村内でも人気のラーメン屋・ラーメン仁東、夕方は仕事帰りのサラリーマンや家族連れで賑わう。
転校する前は私が店を手伝っていた。
混雑する時間帯は二人じゃないと回せないからだ。
んで、私が居なくなってさぞかし大変だろうと思ってたら…。
「へい、水二つ!!!」
コップの中の水が乱暴に揺れ、テーブルの上に大きな音を立てて置かれた。
「マサ…、あんたも謝んなさい」
「だって姐さん!姐さんがどこぞの馬の糞なんか連れてくるから…!」
「骨じゃボケェェェ!」
「あぁ!久しぶりの拳ィィ!」
元はといえば、こいつが原因だ。
ちょうど夕飯時だから、うちのラーメン屋でご飯を食べようと提案すると、要冬真は嬉しそうに目を細めた。
『ここは初めてのもんばかりだな』
純粋に喜ぶその笑顔にたじろぎながらも、店内は汚い事を先に断って暖簾をくぐって引き戸を引いた。
『いらっ…、あー!姐さん!!』
『あれ…、マサ…?なんで』
なんてタイムリー。
先程話題の中心となっていた大貫雅則が、白いエプロンを腰に巻き、白いタオルを頭に巻いて立っている。
『姐さんの帰りを、俺は待ってたんすよ!ここでラーメン屋の修行をしながら待ち続…』