生徒会長様の、モテる法則


「えーなんか見るからに凄そうじゃん!」



知らん。
マトモにみた執事なんて要邸のコトリさんだけだもん。
見ただけで良し悪しがわかるもんでもない、目利きか!


「でもどーしちゃったのいきなり執事なんて雇ってさー、あ、漫画の影響?」


「んなわけあるかい。なんかよく解らないけど朝からずっとあんなんなの」



大体、先生とかも文句ぐらい言ってくれ。
午前中の先生全員スルーだったぞ、なんだスタンドか?ブラックと言う名のスタンドなのか?
それともヨイコのみんなにしか見えない?


とりあえず考えても仕方ないので席について弁当を取り出すと、机に影が出来てフワリと甘い香りが鼻を撫でた。

誰だかなんてすぐ解る。



あの夏休み一泊騒動から新学期つまり今日まで、私と要冬真が会うこともなかった。

携帯の番号だって知らないし、そもそも家が特別近いわけでもない。

会おうと思えば会えただろうが、別に会う理由もないし。



「…なんだあれ」



少し不機嫌な声が降ってくる。



――…怒ってらっしゃる!!



やっぱり今時授業参観なんてクソ食らえですかスミマセン!




「教師が口を出さない所を見ると、なんか事情があるな」



「ねー。あの執事、誰かに似てない?」



自分の弁当に入っていたミニトマトを私の弁当に移動させながら、ハルがポツリと呟いた。



「誰かって、誰」



「ん~、わかんない!でも誰かだよほら!」


「“誰か”って宇宙規模じゃん、ハルのセリフから一人に特定するの無理なんだけど」


「ほら!思い出して!あの人だよ!ギャー!ミニトマトいらない!」




移動してきたミニトマトと、元々持ってきていたミニトマトを、合わせてハルの弁当箱に入れてやった。



疲れたように溜め息をついた要冬真は、食堂に向かうためか廊下へ向かっていく。



「鈴夏」



「うぉ!」



突然名前を呼ばれて、そちらに顔を向けると扉に手をかけたままの要冬真がこちらを見ていた。


ていうか名前!?



いつから定着したの?




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