生徒会長様の、モテる法則
私の気持ちなんて全然関係ない所で、“運命”が回っている。
「縁談相手が、空から落ちてくるなんて思いもしませんでしたよ」
たとえ、同じ学校に居たとして。
あんなに沢山人が居る中で、要冬真に目を付けられて生徒会に入って。
知らない間に未来の婚約者に出会ってて、しかもそれは私が空から落ちてくる構図。
それだって、もしかしたら“運命”だったかもしれない。
婚約者として出会うまでに、出会っていなければまた、変わっていたかもしれないのに。
彼は私を熟知しているし、勿論逆も。
だから、こうして戸惑うのだ。
「相手を見定めるには良い機会だとは思いました。まぁ生い立ちは大体事前に把握してましたけど」
だから私の事とか、妙に詳しかったんだ。
よく考えてみれば、不自然すぎるのにスカウターで片付けてた自分が恥ずかしすぎる。
「あ!そう言えば!屋上で話した時“好きではない”って!完全に悪口じゃないの!」
「私は聞かれたまま答えただけですよ」
「酷い!悪口!」
「だから文化祭の時はフォロー入れたじゃないですか」
ーー…“頭の悪い、天使?”って
「全然フォローじゃないし、全力で馬鹿にしてるじゃん!」
咽せから完全に復活した私が久遠寺くんを睨みつけると、待っていたとばかりに真横に座り直しこちらを優しい目で覗き込んだ。
「だから、してないって」
くすぶるような、心の底に響くような表情。
なんて笑い方するんだこの人は!ホントに!
目が合わせられない!
勢い良く顔を背けると、この部屋の入り口の襖が少しだけ開いている事に気がついた。
そこから覗く、見慣れたつり目の大きい目。
「…!!」
深月さん何見てんの!!監視?!
こえぇぇぇ!
知らないフリをしようと久遠寺くんの方に向き直ると、こちらを真剣に見下ろすその目に絡み取られ、覗かれている事も忘れ息を呑んだ。
「もういっそのこと」
「え?」
「結婚会見でも、開きましょうか」