生徒会長様の、モテる法則



そう言われて、あまり詳細も聞かされぬまま車に乗って辿り着いたのは、都内高級ホテルだった。


名前は、ホテルに縁のない私が聞いたことあるくらいだから相当有名だと思う。


深月さんに連れられロビーに足を踏み入れると、一生届きそうにない高すぎる天井にキラキラ光るシャンデリア。
自分の顔が映る廊下に、高そうな待合いソファー、奥には小さな滝が見えた。


ホテルって、すげぇ。



「このカードキーを持って、最上階1010号室へ行ってください」


「はぁ…」



なんだ?地球滅亡最後の日はスイートルームでお過ごしくださいってか?
最上階1010号室。


明らかに、どう考えてもスイートルームだ。
だってこの階にはその部屋しかないし、ドアノブさえもキラキラしてる。
さらに最上階であることを加えれば、歪みない事実であることは明白。




――…これでスイートルームとかじゃなかったら逆に怒る



そんなことを考えてながらドアノブに付いているカードリーダにキーを滑らせると、上の赤いランプが緑に切り替わった。



なんかドキドキする。



妙な好奇心と恐怖心にかられながらもゆっくりノブを下ろして扉を引くと、視界一面に見たこともないような広さの空間が広がっていた。



「…うわ…」


「うわぁ、流石スイートルームですね」


「ぎゃっ!」



広すぎる部屋を目に焼き付ける暇もなく後ろから声がかかり、驚いて体を浮かせゆっくりと振り返ると、いつのまにやってきたのか久遠寺くんが涼しい顔をして立っていた。


Yシャツにネクタイをしめ、ある種サラリーマン風の彼はTシャツにGパンの私を見て顔をしかめる。


「…あなた、その格好でここまで上がってきたんですか?」



『恥ずかしい』



そんな声が口から出ずとも聞こえて少なからずイラッとした。


睨み上げている私の横をスラリと通り抜け、慣れた様子でネクタイを解いた久遠寺くんは、広々としたソファーにそれを掛けて私が手を広げたって間に合わないような大きなテレビの電源を入れる。



“6時のニュースです”



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