生徒会長様の、モテる法則
会見がうまい具合に終了し、会場から人が出て行く中、俺は司会者――升条基鈴と真剣に話し込んでいる副会長に声をかけた。
人目もはばからず。
「あぁ、これは女たらしの星南くん」
一言余計や。
喉から出そうになった文句を無理やり押し込んで、俺は大して身長の変わらない彼を見た。
「あれ、お一人ですか?冬真も春も、彩賀さんも桐蒲くんもお呼びしたのに」
全く不思議そうじゃないクエスチョンマーク、初めて見たわ。
「やっぱり、生徒会長ん事うまぁく煽ったんやな」
負けじと涼しげに言えば、副会長は上品にクスクス笑って俺に向き直る。
「大人ぶった冬真は、らしくないでしょ?だからちょっと腹が立って」
「あんたは」
「え?」
「あんたはそれでええんか?」
俺が、屋上で見た彼は、あくまでも真剣で、ひたむきな想いだった。
確かに我慢することも身を引くことも大事だ、自分がそうしたように。
それでも聞きたくなるのは、引き止めたくなるのは偽善的だろうか。
俺の問い掛けに、副会長はあくまで紳士的に自然に笑みを零した。
「いいわけないでしょう」
「…、え゛?」
「あ、先ほどのスピーチには嘘偽りないですよ。本当にそう思ってます、心から」
心から真顔なのが怖い。
「振り向かせればいいだけの話なんですから」
大人びた笑み、優しい口元、相手を諭すような優しい声は俺にある種の衝撃を与えた。
目を丸くしたまま動けないでいると、副会長は口元に手を置いて楽しそうに喉を鳴らす。
紳士的に、彼の仮面を崩さずに。
「今度は私が奪ってみせますよ」
目を細め俺の前から去る彼の背中は、とてつもなく大きく見えた。
「…、前言撤回」
――…等身大の18歳やん
鈴夏も気を付けんと、操られんで。