生徒会長様の、モテる法則
2-2 視線
「そいやぁさ」
授業中。
いつの間にか、ハルと話すのが日課になってしまっていた。
というか、彼と以外話したことがない、
私が書記になってから、嫌がらせの類は意外にも起きていなかった。
が、私には未だに女子のお友達は無く、話しかけられもしないのだ。
なんだろう、牽制されてる感がヒシヒシ伝わってくる。
「技術学芸会の出し物、なんでうちのクラス演劇なの?」
「多数決!あー…リンがあと一週間早く来てれば参加出来たのにね」
「私が全力で反対したってむりっしょ」
「そだねー、満場一致に近かったし」
ハルはノートの欄外にハートを書いた。
私はすかさず真ん中に切れ目を入れてやる。
今の気持ちを表現したつもりだ。
演劇…、出来ればライオンキングとかがいい。
ミュージカルみたいな。
下手して“ロミオとジュリエット”とかになってみろ。
確実要冬真がロミオだろう。
怖い…!
寒気がする…!!
「演目決まってんの?」
「まだだよー近々決めるんじゃない?」
「へぇ」
「…」
「…」
「「…」」
「リン」
「なに?」
「いつから彩賀ちゃんに目付けられたの?」
「こないだから…」
そう、女の子の友達は居ないのだが授業中・休み時間・昼休みと絶え間なく刺さる視線と、私は戦っている。
ハルの三つ隣の席から感じる、あの舐め回すような視線は正に彼女。
三権分立の設立者、疑惑のあの子だ。
後から知ったのだがあの集団は“管理局”だったようで、そのボス・彩賀涼華【サイガ-リョウカ】は恐ろしいことに同じクラスだったらしい。
監視されている。
間違いなく監視されている。
ここ数日間、ハルとの会話が時々不自然に止まるのもこの視線のせいだった。
「呼び出された次の日からずっとなんだわ」
「おれも気付いてたけど我慢してたんだよ、突っ込むの我慢してたんだよ」
「怖いね」
「ね…」