生徒会長様の、モテる法則



しかも…。


「じゃあ次の問題を…要」


私の大嫌いな物理をあんなにスラスラとぉ~!!
白いチョークですらすらと答えを書いていくあの白くて長い指先が憎い。

ナルシストが!


チョークさえもナルシストに見えてくるから恐ろしい。



周りの女子からの感嘆の声がさらに腹立たしい。






ファック!!!





奴がこちらに背を向けている隙に中指を立ててやる。
教室中が奴に注目している為、そんな私の悪事には気付かない。


こうして、ちょくちょく恨みを晴らそうと心に誓った瞬間だった。







!!!







すっかり忘れていた。

確かに一番後ろの真ん中は教室に座る生徒達にとってほとんど死界だし、加えて黒板前に要冬真がいることで私の所業が見つかる確率は極めて低い。


しかし。





絶え間なく注がれる視線は、教室の私の立ち位置も要冬真のナルシストチョークも関係なかった。


見てる…、見られてる。






私は恐る恐る眼球を左に動かした。
要冬真は教壇から降りて華々しく自席に向かって歩いているが、その華麗っぷりはあえて無視。



脳が彼女を捕らえた瞬間、私の心臓は…いやもう体全体が重力に逆らって五センチは椅子から浮いたと思う。







彼女は、動じる様子もなくただただこちらを監視していたのである。



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