生徒会長様の、モテる法則
「待たんかいぃ!己らぁぁぁ!」
私から逃げられると思うなよ!
廊下数十メートル先を走るスカートをロックオン。
すれ違う生徒の様子から、二年生の階であることが分かるが今はそんな事どうでもいい。
「ふはははー捕まえたー…」
4人いたうちの2人、両手でしっかり捕まえて振り向かせる。
ニタリと笑うと、残り2人も諦めたように歩みを止め私の元へ帰ってきた。
「ば…、ばれちゃどうしようもないわね」
主犯格らしい女生徒が嫌な顔をしながら、私の前に立つ。
どこかで見たような顔だ。
よく見れば、他の3人も朧気ながら見覚えがあるわけで…。
「あ!!昔の彩賀さんの取り巻きの」
私がそう言うと、顔を一瞬歪めた彼女はコホンと咳払いを一つしてグッと指をこちらに示した。
「彩賀様は認めたかもしれないですけどね!私達は認めていないのよ!」
「はぁ…」
私は認められていないようだ。
大体予想がつくが、まぁとりあえず。
「それで私を突き飛ばしたわけ?」
「そうよ!気絶した所を捕まえて、今日1日どこかに閉じ込めておけばアナタは要様にチョコレートをお渡し出来ないでしょう?」
「そうすれば要様はアナタに幻滅!即破局よ!」
口々に鼻をあかすのはどうかと思うが、幻滅という言葉にチクリと心が痛む。
アナタ達がそんな事しなくても何も用意してないんだけど…。
とは言いたくないが。
「だからって階段から突き落とす事ないじゃない!危ないわね!」
負けじと言い返すと、たじろいだ女子4人組が口々に言い返す。
「だって!アナタこうでもしないと暴れるじゃない!」
「そうよ!麻酔銃案も出たけど、可哀想だと思って止めたのよ!」
「正面きって適わないじゃない凶暴だし!」
「怖いし!」
半泣きの彼女たちを見て、よもや私ではなく何か違う動物の話をしているんじゃないかと錯覚を覚えた。
「ちょっとみんな…私をゴリラみたいに…」