生徒会長様の、モテる法則
2-3 果たし状
「こわい!こわいよ監視されてるよ!ねぇ!」
生徒会室にある生徒会長用の椅子に荒々しく腰を掛け、私は机をバンバン叩いた。
ソファで作業しているユキ君は一瞬顔をしかめてこちらを振り返ったが、短めの金色の髪を邪魔そうに掻き上げて無視を決め込む。
海ちゃんはその向かいで大口を開けて寝ていた。
ヨダレ垂れてるよ。
「おれだってトバッチリだよー!髪の毛焦げるよあの視線~レーザービームだもん」
ユキ君の隣でハルは大きな欠伸を一つしてソファの背もたれに首を置いた。
君はいいよ、こっちはモロにビーム浴びて黒こげだよ。
「あの子何者…?どんだけ怖いのよ!この先授業受けられん」
「リンは元々受けてないじゃーん!」
「うっさい!」
ユキ君がまた呆れたような視線を寄越した。
授業くらいしっかり受けろよ
と言う目だ。
それから逃げるために、私は椅子ごと窓へ回転させる。
「彩賀涼華、実家は日本でも有数な道場主の一人娘ですよ」
「うお!なんだ久遠寺秋斗!いつから居たのさ」
その椅子の上に体育座りしながら順調に回り、机の前に戻ってくると目の前に現れたのは書類の束を持った久遠寺秋斗だった。
さながら、社長に直談判する社員。
私が椅子で一周している間に、彼は生徒会室のドアを開け生徒会長机の前まで歩いてきたというのか。
恐ろしい、忍者かい。忍者なのかい君は。
「今です。フルネームで呼ぶのやめてください」
「まぁいいや久遠寺くん、で、続きを」