生徒会長様の、モテる法則

3-1 お決まり





いやいやいやいや、考えられない。



「じゃあ、演目も、配役も決まったな」




カツカツと、黒板に書かれていくのは学級委員長の汚い字。

流石金持ちと言ったところか、目立ちたがり屋多数の為配役は全てクジ引き。

しかしクラスの女子は思っただろう。



(私がジュリエットで要様がロミオになれ)



と。
しかし、そういう荒んだ欲望を手先に集中してクジを引くと大抵外れ。

そして。



そういう星の下に生まれた男は、必ずといっていいほど物語の主人公を引き当てるのだ。





「委員長!!私ジュリエットじゃなくてロミオを殺す役とかロミオを抹殺する役がいいです!」





私が一番後ろで異議を申し立てると委員長は少し困った顔をする。


「仁東、ロミオは自害するんだぜ?無茶言うなよ。それに女子の皆さんも、お前ならと渋々納得してくれたぞ」



委員長、一言多い。

渋々ってなんだよ渋々って。


私は仕方なく席に座り直した。
委員長は平和主義者だ。
なんとなく形だけでも収まったこの状況を崩したくないのだろう。



「すげーリン!くじ運いいんだか悪いんだかわかんないねー!」


「ハルお黙り。悪いよ、最悪だよ、地獄への片道切符だよ」







「とりあえず来週には吉川が脚本作り上げてくれるっていうから、そしたら練習開始。衣装班は監督と相談しながらイメージ画の作成、演出班・大道具班は…脚本が出来上がってからだな」





委員長がしっかりと指示を出した所で、HRの終了チャイムが鳴る。

バタバタと立ち上がる生徒をよそに、私はため息をついた。

私がジュリエットで納得されているのが逆に怖いんだけど。




「鈴夏さん、ジュリエットだなんて素晴らしいですわね!」



彩賀涼華。


彼女に好かれてからというもの周りからの牽制の目はすっかり止んでしまった。
これが、彼女の影響力。

彩賀さんも、ある種星の下に生まれた人間だと思う。


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