生徒会長様の、モテる法則
「…なんですかいきなり」
私が突然大声を出したものだから、隣にいたユキ君がビクリと肩を揺らした。
「結婚!?ロミオとジュリエットが結婚!?」
「知らなかったんですか?ロレンスっていう修道士の元、二人だけの結婚式をですね…」
「いやいや、ロマンスだかレギンスだかしらんけど…結婚って、愛を誓い合うのですか!?私は憎き要冬真と愛を…!!」
「先輩ロレンスです」
「大失態だよロレンス!!」
元々大きな目をさらに見開いて、立ち上がった私を見上げるユキ君は震える子犬そのもの。
毎度のごとく向かいのソファで寝ていた海ちゃんも目を覚ましたようで、手の甲でグシグシと目元かいている。
「誓いの言葉…、誓いのキス…!愛してるのさ~いん」
「えー…リンちゃん先輩どうしたの?」
「ほっとけ」
すっかり忘れてたけど、ロミオとジュリエットは愛し合ってるんだった。
何となく普通の物語として流し読みしていたけれども、出てくるのは甘ったるい台詞ばかり。
“出来るなら、貴方様のお側に…”
「一刻も早く離れたいっつーの!!!」
「「!!!」」
演技とは言えど、嘘を付かなければいけない苦しみ…!
自分のくじ運呪いたい!
“ロミオ、私も貴方様の事…愛しているのです…”
あ、あ、あ、あ…
「アンドレー!!!!」
崩れ落ちるように机に頭を打ちつけた。
悲しい、泣ける、死にたい!
「…、先輩それベルサイユの薔薇です」