生徒会長様の、モテる法則
諭すような、優しげな声に吉川さんは顔をあげる。
「私が読む限りではこの台本に“本気”を感じましたよ」
本気。
どんなに鈍い私だって伝わってきた想いだった。
ふざけることができない、瞬時に感じたそれは気のせいではなかった。
“技術学芸会自体にそういう趣旨がありますから”
そういうことか。
今更ながらユキ君の言葉の意味を理解した。
「母はドラマの脚本を手掛けることが多いんですが、私は…舞台や演劇の脚本を書いていきたいんです」
吉川さんは、仕草や態度こそ静かで大人しいが意志のあるハッキリした言葉を放った。
そもそもにこの、技術学芸会に望む意気込みが違いすぎる。
「ほら」
「…、わかってるよ」
久遠寺くんが差し出した台本を奪い取るように受け取る。
私だって、やるときゃやりますよ!!!!
「吉川さんんん!!!」
「えっはい!」
「私がんばるから!あの自己中ロミオを好きになってみせる!必ずや!“愛してる”と言ってやるぜー!」
「う、…うん!頑張りましょう!」
久遠寺くんがそれを見て、呆れたように笑ったのを無視して私は吉川さんの手をしっかり握った。
やってやる!やってみせる!