生徒会長様の、モテる法則
3-3 覚醒
「愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる…」
「じゃあ次の問題を、仁東」
「はい!愛してます!!」
「よし、完全に授業を聞いていない仁東に変わって、桝古【マスコ】」
「はーい」
最近、授業中当たっても大体ハルに流れるので助かっている。
初めは怒られていたが、弾みで「先生!愛してます!」と言ったら翌日からマトモに目を合わせてくれなくなった。
でも、そのおかげで変わったこともある。
一つは、ハルのフルネームが桝古春貴【マスコ-ハルキ】だということが判明したこと。
もう一つは、片時も離さず要冬真の写真を持ち歩くようになったことだ。
ちなみに、要冬真に恋したとか、物語が超展開を見せ、奴と付き合うようになったわけではない。
“お前が愛しくてイジメテタンダゼ、ヒトメボレダゼ”
などというアホくさいストーリーは懲り懲りだ。
私は要冬真の写真で、演劇の練習をしていた。
実際問題、久遠寺くんにアドバイスを貰おうと吉川さんの本気を見ようとも、要冬真を好きになることは出来ない。
それでも、“要冬真の演じるロミオ”を好きになるキッカケくらいにはなったし、自分で克服しようと思ったのも事実だ。
「前見えないよー」
「私に協力するんでしょ?ほら台詞!」
おかげで、動く要冬真の写真(引き伸ばした顔写真を顔に貼り付けたハル)相手に“愛してる”と言えるまでに成長した。
「みてみて!怒ったとうま!」
「あひゃひゃひゃ!」
「泣いてます!」
「ダハハハハハ!」
「てめぇらいい加減にしろ!」
「痛いよとうま!」
「暴力反対!」
「うるせえ、人の写真折って遊んでんじゃねぇ!」