生徒会長様の、モテる法則



「どうしたんだよ二人とも。また喧嘩か?」


間に入った委員長の声に、私は我に返ると教室のほぼ全員がこちらを見ていることに気付き、後から駆け寄ってきた彩賀さんと吉川さんへ視線を移した。


「どうされたんですか?」

彩賀さんに説明をしようと喧嘩の経緯を遡って見ると、重要な事実に行き着く。



「…あ、…」



「またアンドレですか?」



吉川さんが俯いた私を心配そうに覗き込む。
心配そうなその声と“アンドレ”という言葉が合わないなと思いながらも、私は興奮がちに二人の肩を掴んだ。






「“愛してる”って!言えたの生身の奴を見て!」







教室中に響き渡った私の言葉。
一瞬、全ての雑音が消えた教室に歓喜の声があがった。

最早最大の難関とクラス中を悩ませていた問題は、ひょんな事から万事解決した。


実は渋々私のジュリエットを承諾した女子の面々は、どうしても“愛してる”が言えない私に、「あ…それほど嫌いなんだ」と悟り密かに応援してくれていたのだ。



いつの間にか、クラスが一丸となっていた。




「やったな仁東!やっと克服したんだな!俺嬉しいよ!」



何故か半泣きの委員長。
私の周囲に人が集まり、小さな大騒ぎになった。








「なぁに笑ってんのー?とうま」


「笑ってねーよ」


「てもこれで一安心だね!」


「そーでもないぜ」


「えー」


「もうひと波乱、あるかもな」


< 50 / 307 >

この作品をシェア

pagetop