生徒会長様の、モテる法則
お礼を言った理由なんていくつもある。
どんな理由であれ仲良くなってくれたこととか、私を後押ししてくれたこととか。
「きゃー!」
ちょっと衣装室の空気が和やかになった所で聞こえてきた悲鳴に、私は顔をしかめた。
この悲鳴の感じ…奴だ。
衣装室から顔を出すと、周囲の女生徒は皆一点を見つめている。
「わー!リンかわいー」
本当に衣装室前を警備していたらしいハルが顔を出したので、私は部屋から外に出て彼の隣に並んだ。
物珍し気にドレスに触ったり、ドレスを捲っているがとりあえず無視をする。
「すげー!これスカート何枚ついてんの?玉ねぎじゃん!」
「全部捲んなよ、芯が見えるから」
「芯ってパンツ?わー見る見る!」
「おい!見んな!」
そろそろ彼の悪ふざけが無視できない所までエスカレートしたので、屈んでスカートを一枚ずつ捲りだしたハルの頭を叩く。
そちらに気を取られていると、目の前に影がかかり二人で顔を見上げた。
お伽話から飛び出した王子様。
まさにそんな表現がぴったりだった。
中世が舞台なので衣装の色合いはなかなか派手だが、顔立ちが負けず劣らず派手なのでよく合っていると思う。
「なんだ、今度こそ俺様に惚れたか?」
「なっ…んなわけ…!…っ大体ね、今日は役柄としては対等な立場なんだからね…!」
「ほー、確かにな」
要冬真は、わざとらしく感心したように腕を組む。
この余裕綽々な態度が腹立つ…!
「この間変なこと言ってましたけどねー、あんたこそ!私に惚れないように気を付けな!」
「それはそれはジュリエット、惚れた方が負けと言うわけですね」
「ふん!私はね、あんたみたいな上の上な顔には興味ないのよロミオ様!!!」
「フハハハハ!楽しみだなぁジュリエット」
「ハハハハハ!そうですわねロミオ様!」
「「ハハハハハ!」」
「二人ともこえーな、仁東に到っては褒めてんじゃん。上の上って」