生徒会長様の、モテる法則
こやつ!
またもや人の唇を…!
奪われた…、いや、断じて奪われては居ないが指先よりさらに敏感な口を一度ならず二度までも触るとは…、しかもあんなエロチックに!
いや、何かエロチックとか自分で言っていて恥ずかしいがそれ位アイツはスマートに妙な事をするわけで、そもそもエロチックって言葉何。
その言葉自体がエロくね?
一応純情派なんだけど、はぐれ刑事もビックリ純情派なんだけど。
いや、あれだよ…、私はあくまでも奴に影響されてだな…。
いや、影響ってなんだよ影響された覚えは全く…ない!
「体も冷えてるから、何か暖かいもんでも飲めよ」
てめー!
ツンデレか、ツンデレなのかそれは!
飴と鞭?
なにあれ天然飴と鞭製造機ですか、何突然優しくしてんのさ意味わかんない滅びろ!!
滅びてしまえ!
私が長いこと葛藤をしている間に、要冬真は舞台へ出て行った。
ロミオと呼びかけられて。
こちらは舞台袖に返ってきてから(心の中で)叫びっぱなしで、休まった気もしない。
休ませろ、私を。
不意に首筋に線が走ったような寒さを感じ、体を震わせた。
奴の言うとおり、確かに体は冷えている。
湿ったままの衣装を着たままなわけだから体温が奪われるのは当たり前の話だが、こんなに寒気がするとは。
照明の力でさっさと乾くかと思いきや、そういう訳にもいかないらしい。
「リン」
高めの可愛らしい声と同時に背中に柔らかい風が吹いた。
両肩に掛けられたのは質の良さそうな毛布と、見慣れた小さめの手。
「あ…、ありがとう」
ハルは、突然の事に目を丸くする私を見て楽しそうに笑った。
「目、まんまる」
私の表情が余程珍しかったのか彼はクツクツと我慢していた喉元を嬉しそうに鳴らす。
それから、どこで買ってきたのかキャップがオレンジ色のお茶を差し出して近くにあった椅子に腰を下ろした。
「リン、抱きしめてあげよう」