生徒会長様の、モテる法則




屈しないつもりだった。


当日突然嫌がらせしてくるなんて、大した事ない人間だという自信があったから。

本当に陰湿な嫌がらせは、本番一週間前くらいから不幸の手紙を送ったり上履きに画鋲を入れたりしはじめ、それでも屈しなかった主人公を当日袋にする。



と相場は決まっているからだ。




まさか、最終兵器に暗闇を使ってくると思っていなかったわけで。

ちなみに、昔私を閉じ込めた幼なじみは、何食わぬ顔で倉庫を開け第一発見者を装っていた。





――…だって、すずの泣き顔ってゾクゾクする





幼稚園生からドSに目覚めていたアイツの笑顔は、正直恐怖だった。


そいや高校二年生に上がると同時に引っ越したけど、元気だろうか。




「…!脱線してる場合じゃないし!」




ついつい昔話に花を咲かせてしまったが、そんな悠長な事言ってられない。

そう、要約すると昔は何だかんだで誰か(首謀者)が助けてくれていた。

しかし今回はどうだ。






頭に過ぎったのは白骨死体。








「うわぁぁぁぁあ!ざけんな!開けろこのポンコツが!」








ガンガンと、嫌な音が倉庫中に鳴り響いた。

両手でドアを叩き、足の裏で衝撃を与えてみたり。


とにかく私は必死だった。
暗闇への恐怖心から日々それを避けていた私にとって、このハプニングは思ってもみない地獄である。



とりあえず、鍵を内側から壊せばいいわけだ。

倉庫の鍵自体は、大したこと無かった気がする。
木製の板を横にスライドさせるだけの、シンプルなあれだ。

加えてこれだけ古い倉庫なら、木材の劣化は免れないだろう。

しっかりとは見ていないが、新しい感じではなかった。



もっと強い衝撃を与えれば、確実に壊れる…!!!





「ハーッハッハ!縄を千切った私をなめんなよ木材のチキショーメが!!!」






扉から真っ直ぐ、倉庫の隅まで助走を付ける為に下がった。

自慢ではないが、タックルはものすごく得意だ。


< 67 / 307 >

この作品をシェア

pagetop