生徒会長様の、モテる法則
結局、要冬真の家に向かう前に都内で高級なお店ばかり建ち並ぶ七本木だとかいう妙にセレブの多そうな街により、何とかっていう有名なケーキ屋で一つ1000円する、明らかに有名税が一番高そうな小難しい形をしたケーキを10種類ほど買い込んだ。
久遠寺くんが、私の財布事情を知っているかのように振る舞ったので少々恐ろしくなる。
もしかしたら、実家の事とか知っているかもしれない。
忍者だし、あの眼鏡スカウターだし。
電車を乗り継ぎ、また学校の近くまで帰ってくるともう六時を回っているからか学生の姿は見られなかった。
夏に向けて少しずつ伸びる日に助けられながら、まだ明るい道をみんなで歩いていくと、やがて、いかにも高級そうな塀が見えてくる。
しばらく、その塀沿いに歩いていたがあまりにも景色が代わり映えしないので飽きてきた私は、両側に居たハルと久遠寺くんに話を振った。
「まだ着かないの?」
「正確に言えば、着いてません。ですが、大まかに言えば着いてます」
「え?なぞなぞ?私そう言うの苦手」
「ざんねーん!とうまんちの塀でーす」
ハルが得意げに自分の左手を、終わる様子がない塀に叩いて高めの声をあげる。
「え、まじで」
つまり、私達は要冬真の家の周りを回って玄関まで行こうとしていると。
妙に、塀に沿ってるなぁと思ったら。
そういえばさっき左折したときも塀は常に隣に居たわ。
「私達の来た道だと、冬真の家の玄関から一番遠い所に出るんですよ」
どんだけ広い豪邸に住んでんだよ、あいつは!!
「そんなに広いなら、どこからでも入れるようにしときゃいいのに」
「泥棒入っちゃうじゃーん」
「いやいや、泥棒って玄関からは入らないから。塀を全部玄関にすれば逆に来ないんじゃね?塀っていかにも登ってくれ!って主張してるし」
「ほほー!リン凄いね!逆の発想だね!」