生徒会長様の、モテる法則
要冬真の冷凍ビームを溶かすような暖かい笑顔が、私達に向けられた。
太陽!!!
正に太陽の子!
近付いたら溶けてしまいそう。
「おれらが兄弟なら、おれ、にーちゃんね!」
そんなわけあるか、私の方がしっかりしてるだろうどう考えても。
「こ、コトリさんの“コトリ”は名字ですか!?」
とりあえずハルは無視して、ニコニコ笑うコトリさんに向かって手をあげた。
「名字ですよ」
「小鳥じゃねぇよ、琴理だ。“と”で一回音程を下げろ」
さらに、小姑のように突っ込む要冬真を無視してコトリさんを見上げる。
「お、お名前はなんて仰るんですか!?」
「陽介です。琴理陽介【コトリ-ヨウスケ】」
「た、太陽の子…!」
雷が墜ちたような衝撃を受けた。
小鳥のような美しい声に太陽ような笑顔、琴理陽介そのお方!!
ちょっとまてよ、そうなると私の仁王像説はますます色濃くなるな。
「春も鈴夏さんもどっちもどっちですから、双子ですね」
「えー、ちょっと不満だけど。いっか!」
「よくない!私が姉貴じゃボケェ!」
勝手に話が進んでいたらしいハルと久遠寺くんの会話が耳に入り、すかさず反論してやるとハルが「修羅だ!」と言って久遠寺くんの後ろに隠れた。
くそ、どいつもこいつも…。
「陽ちゃんはね、おうちの人が代々ヒツジをやってるってゆー珍しいお家柄なのよー」
「へー、じゃあお父さんも?」
「うん!陽ちゃんのお父さんはうちのパパのヒツジやってるのー」
いち早くケーキを食べ終えた海ちゃんが、要冬真のベッドに飛び込んで頭を上げる。
同意を求めるようにコトリさんを見上げると、彼はまた目を細めて笑った。
人懐っこいその表情は、まだ幼さを残している。
下手したら同い年くらいに見えるけど、違うんだろうな。
「はい、私の父は花櫛様の社長の執事を、兄は升条【ショウジョウ】様のお家で執事をしています」