生徒会長様の、モテる法則


要冬真の冷凍ビームを溶かすような暖かい笑顔が、私達に向けられた。

太陽!!!


正に太陽の子!


近付いたら溶けてしまいそう。


「おれらが兄弟なら、おれ、にーちゃんね!」


そんなわけあるか、私の方がしっかりしてるだろうどう考えても。


「こ、コトリさんの“コトリ”は名字ですか!?」



とりあえずハルは無視して、ニコニコ笑うコトリさんに向かって手をあげた。


「名字ですよ」


「小鳥じゃねぇよ、琴理だ。“と”で一回音程を下げろ」



さらに、小姑のように突っ込む要冬真を無視してコトリさんを見上げる。


「お、お名前はなんて仰るんですか!?」


「陽介です。琴理陽介【コトリ-ヨウスケ】」



「た、太陽の子…!」


雷が墜ちたような衝撃を受けた。
小鳥のような美しい声に太陽ような笑顔、琴理陽介そのお方!!

ちょっとまてよ、そうなると私の仁王像説はますます色濃くなるな。



「春も鈴夏さんもどっちもどっちですから、双子ですね」


「えー、ちょっと不満だけど。いっか!」



「よくない!私が姉貴じゃボケェ!」



勝手に話が進んでいたらしいハルと久遠寺くんの会話が耳に入り、すかさず反論してやるとハルが「修羅だ!」と言って久遠寺くんの後ろに隠れた。


くそ、どいつもこいつも…。



「陽ちゃんはね、おうちの人が代々ヒツジをやってるってゆー珍しいお家柄なのよー」


「へー、じゃあお父さんも?」


「うん!陽ちゃんのお父さんはうちのパパのヒツジやってるのー」



いち早くケーキを食べ終えた海ちゃんが、要冬真のベッドに飛び込んで頭を上げる。
同意を求めるようにコトリさんを見上げると、彼はまた目を細めて笑った。

人懐っこいその表情は、まだ幼さを残している。

下手したら同い年くらいに見えるけど、違うんだろうな。


「はい、私の父は花櫛様の社長の執事を、兄は升条【ショウジョウ】様のお家で執事をしています」



< 84 / 307 >

この作品をシェア

pagetop